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ドクターコラム
スポーツプレックス提携のドクターが、お届けする、医療面からのコラムです。
総コレステロールから悪玉コレステロールへ−動脈硬化危険因子の話題−

コレステロールの値は、人間ドックや健康診断で“注目すべき項目”のひとつとして知られています。一般にはただ“コレステロール”と呼ばれることも多いのですが、正確な名称は“総コレステロール”といいます(英語ではtotal cholesterolとなるので、略号として“TC”が用いられます)。

なぜ、“総〜”なのかといいますと、この総コレステロールはいくつかの成分が合わさったものであり、その内訳にはLDLコレステロール、HDLコレステロール、VLDLコレステロールがあります。この中でLDLコレステロールは俗に悪玉コレステロールと呼ばれ、動脈壁に蓄積し動脈硬化を形成する主役となっています。一方、HDLコレステロールは末梢にたまったコレステロールを引き抜き、肝臓に逆転送する役割を担っており、そのため、動脈硬化に対して予防的に働くことから善玉コレステロールと呼ばれています。

そもそも、コレステロールが高いと動脈硬化が促進され、心筋梗塞の発生頻度が上昇することが初めて報告されたのは1957年でした。当時のアメリカにおける死因の第1位は心臓血管系疾患で、実に国民の7割以上が心筋梗塞などの心臓病で死亡していました。多くの人々は“心筋梗塞になるのは運命なのだ”と諦めていたといいます。しかし、政府にとっては、母国の若くて優秀な人材が失われることは大問題でした。そこで、その原因を究明する目的でボストン郊外にあるフラミンガムという町において大規模な住民調査をスタートしたのです。1948年、この町に住む住民を対象に、体格指標、食事習慣、身体活動度、血圧、心電図、血液生化学的検査など多岐に渡る項目が調べられました。ただ、調べるのだけなら通常の健康診断と大差ありません。しかし、この研究では、その後年余にわたり、登録した人に繰り返し同様の調査を施行、その人の健康状態を10年、20年にわたり追跡して行ったのです。このようなスタイルの研究を“疫学研究”といいますが、このフラミンガム研究は驚くべきことに現在も継続している歴史的大疫学研究なのです。

このようなかたちで研究が進み、10年あまりが経過すると、当然、心筋梗塞を発病する人が出て来ます。そこで、発病した人と発病しなかった人の間にはどのような背景の違いがあるのか?という点にまず着目し、いろいろな角度から検討が行われました。その結果、数々の(当時としては)新しい事実が発見されたのです。コレステロールをはじめ、血圧、糖尿病、肥満などが健康を害するリスクになるということは、今日であれば誰でも知っていることですが、それを初めて科学的に証明したのはこのフラミンガム研究でした。詳細については次回以降のコラムでお話します。

石田浩之(いしだひろゆき) 慶應義塾大学病院 スポーツクリニック助手 医学博士

日本臨床スポーツ医学会評議員
日本肥満学会会員
米国スポーツ医学会会員
欧州スポーツ医学会会員

経歴  
1987年 慶應義塾大学医学部卒 
同内科、老年科を経て1995年より現職 
生活習慣病や動脈硬化危険因子に対する運動療法が専門。

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