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ドクターコラム
スポーツプレックス提携のドクターが、お届けする、医療面からのコラムです。
高血圧症と運動(4)

高血圧に対し、有酸素系の運動が有効であることは多くの研究で確認されています。この点は以前のコラムで紹介したメタボリックシンドロームや肥満に対する運動療法と共通するところです。
ただ、肥満を改善するための運動ではエネルギー消費量が重要視されているのに対し(したがって、ある程度強い運動の方が効果大)、高血圧に対する運動療法では、必ずしもエネルギー消費が多ければそれだけ効果があるというわけではないようです。
つまり、体重減少が期待できないような程度の運動量でも降圧効果は認められており、この点は肥満や代謝改善を目的とした運動療法とは大きく異なるところです。また、運動強度に関しても同様で、必ずしも強い運動の方が効果があるわけではなく、中等度以下の運動でも降圧効果が見られます。

2000年にHagbergらが発表した論文を御紹介しましょう。
彼らは最大酸素摂取量の70%より強い運動(強度が高い運動)を行ったグループと、最大酸素摂取量の70%以下の運動(強度が中等度以下の運動→ウォーキングなどに相当)を行ったグループで、血圧の下がる程度を調べました。両方のグループとも7割以上の人で血圧の低下が観察されましたが、下がり幅は70% 以下の運動のグループの方がむしろ大きかったのです(70%<のグループ:平均7.6mmHg低下、70%以下のグループ:平均11.1mmHg低下)。

このように高血圧に対しての運動は強ければ強いほど良いというものではなく、また、強い運動は筋肉や関節の障害発生のリスクが高くなるので、この点からもウォーキングなどの比較的マイルドな運動が推奨されるのです。
運動の量や頻度に関しても数多くの研究が存在します。1週間あたりの運動時間でみてみると、合計30-60分の運動でも降圧効果は認められていますが、確実な降圧が得るには週合計90分くらいが必要です。また、頻度に関しては週3回程度(つまり1日おき)でも効果ありとする報告が多くなっています。したがって1回30分のウォーキングを1日おきに行うというのがひとつの目安となるでしょう。

ただ、私個人の考えとしては、高血圧の運動療法では、1回運動する毎の降圧効果(以前のコラムで述べたもので、これを運動の“急性効果”といいます)も重要であり、この積み重ねを期待してできれば毎日やることをお勧めしています。運動療法の効果発現までの時間は人によってまちまちですが、大体は10週間以上がひとつの目安となりますので、まずは2ヶ月ちょっと根気良く取り組んでみて下さい。

石田浩之(いしだひろゆき) 慶應義塾大学病院 スポーツクリニック助手 医学博士

日本臨床スポーツ医学会評議員
日本肥満学会会員
米国スポーツ医学会会員
欧州スポーツ医学会会員

経歴  
1987年 慶應義塾大学医学部卒 
同内科、老年科を経て1995年より現職 
生活習慣病や動脈硬化危険因子に対する運動療法が専門。

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