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ドクターコラム
スポーツプレックス提携のドクターが、お届けする、医療面からのコラムです。
高血圧症と運動(2)

どうして、運動すると血圧が下がるのでしょうか。今回はそのメカニズムについて御紹介しましょう。

血圧は心臓から送りだされる血液の量(心拍出量)と末梢の動脈の抵抗(末梢血管抵抗)のかけ算で規定されています(血圧=心拍出量X末梢血管抵抗)。したがって、心拍出量が下がるか、血管が拡張して末梢血管抵抗が下がれば血圧は低下します。
現在、運動は心拍出量の低下、末梢血管抵抗の低下、いずれにも効果があるといわれています。運動している間は交感神経の活動が活発になり、血圧、脈拍とも 上昇しますが、これはカテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン)という、心拍出量を上げ、血管を収縮させるホルモンが分泌されるからです。
ところが、運動やトレーニング毎日続けてゆくとこの交感神経の活動亢進が徐々に起こりにくくなり、その一方、安静時には交感神経と反対の作用(血圧や脈拍 を下げる作用)を持つ副交感神経の働きが優位になってゆきます。すなわち、身体がだんだんと運動時の状態に順応したため、逆に運動していない時は脈拍が下 がって心臓から送りだされる血液は減少、血管も拡張して抵抗が低下して、いわば身体が“休め”の状態になるのです。

実際、種々の研究成績でも運動トレーニングにより安静時のノルアドレナリンが低下することが示されています。また、運動することでタウリンという物 質が増え、これが、利尿促進(尿の排泄が亢進すること)に働き、心拍出量を減らすことに寄与するというデータも得られています。
ジョギングなどの有酸素系のトレーニングを続けてゆくと、安静時の脈拍が少なくなることに気付いた方もおられるでしょう。人によっては1分間の脈拍が50台となり、心配になって病院を受診するケースもありますが、これは病的なものではなく、安静時の交感神経の活動が低下したためで、いわゆる“トレーニング 効果”と考えて下さい。
また、最近話題のメタボリックシンドロームでは高血圧の合併が高頻度にみられますが、運動+食事療法による減量(特に内蔵脂肪の減少)によって血圧の改善 が報告されており、肥満に合併した高血圧症例では減量が降圧に寄与している様です。このように、運動は様々なメカニズムで血圧を下げる方向に働きます。こ れらを理解して上で運動を行えば、取り組む姿勢もまたひと味違ったものになるかもしれません。

次回は運動の具体的方法について解説してゆきます。

石田浩之(いしだひろゆき) 慶應義塾大学病院 スポーツクリニック助手 医学博士

日本臨床スポーツ医学会評議員
日本肥満学会会員
米国スポーツ医学会会員
欧州スポーツ医学会会員

経歴  
1987年 慶應義塾大学医学部卒 
同内科、老年科を経て1995年より現職 
生活習慣病や動脈硬化危険因子に対する運動療法が専門。

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