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ドクターコラム
スポーツプレックス提携のドクターが、お届けする、医療面からのコラムです。
メタボリックシンドロームについて(2)

前回のコラムではメタボリックシンドロームの歴史的な背景を御紹介しました。さて、このメタボリックシンドローム、身体にとって何がいけないのでしょうか?

メタボリックシンドロームの診断基準に挙げられている、高血圧、高脂血症、高血糖はそれ単体でも動脈硬化に対して促進的に働き、最終的には、心筋梗塞、脳梗塞などの致命的な動脈硬化性疾患を起こします。これら動脈硬化を促進する要因を、われわれは“危険因子(リスクファクター)”と呼んでいますが、メタボリックシンドロームでは、この危険因子が一個個人に重複している点が最大の問題です。

危険因子が重複すると、将来、心筋梗塞などを起こす確率は相乗的に高まり、単体で存在する場合に比べて、健康上のリスクが強くなるわけです(二つの危険因子が重なると16倍、3つが重なると32倍といわれます)。これは欧米だけでなく、日本人でも確認されている事実です。また、重複する危険因子の特徴として、各々の重症の度合い(すなわち数値の異常の程度)はそれほど強くないことが挙げられます。そのため、患者さんにとっては“別にそんなに大したことなくていいんじゃない?”という発想につながり、あまり重症感をもってもらえません。これは診療する側からするととても困ったことであり、何か症状(=心筋梗塞など)が起きてからでは遅いのです。たしかに痛くも痒くもありませんから、自分が病気だという意識が芽生えにくいのは良く理解できます。しかし、何か起きてからではどうしようもありません。如何にして、心筋梗塞や脳梗塞を未然に防ぐかが大切なのです。

先にも述べたように、メタボリックシンドロームではそれぞれの危険因子は薬を飲む程の異常を呈することは少なく、したがって、早い段階における治療手段は、生活習慣の改善ということになります。企業の健康保険組合や健康管理室、市町村の保健所では、看護師や保健師さんが中心となって、対象者に呼び掛けを行ない、食事指導や運動指導を行っていますが、なかなか実効が上がらず苦労しています。このコラムを読んで思い当たる方も多いのではないでしょうか?次回のコラムではメタボリックシンドロームの治療戦略について解説します。

石田浩之(いしだひろゆき) 慶應義塾大学病院 スポーツクリニック助手 医学博士

日本臨床スポーツ医学会評議員
日本肥満学会会員
米国スポーツ医学会会員
欧州スポーツ医学会会員

経歴  
1987年 慶應義塾大学医学部卒 
同内科、老年科を経て1995年より現職 
生活習慣病や動脈硬化危険因子に対する運動療法が専門。

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