AED(Automatic External Defibrillator:自動体外式除細動器)は縦X横それぞれ20cm程度の器械で、重さはケース込みで3キログラム前後、何処にでも持ち運び可能 な仕様になっています。この器械は内部に電気的エネルギーを蓄え通電するためのバッテリーが内蔵され、使用しない状態であれば数年間はほぼメイテナンスフ リーで大丈夫です。
心臓に電気ショックを与える器械のことを"除細動器"といいますが、この除細動器自体は以前より医療現場で使用されており特に目新しいものではあり ません。AEDの特徴は何といっても、器械が自分で心電図を解析し、除細動が必要かどうかを判断してくれることにあります。そして、その判断と同時に器械 から流れたメッセージ通り、通電ボタンを押せば除細動が行えるのです。したがって、使用にあたっては医学的知識は全く不要であり、操作の手順も至って簡単 です。器械の電源を入れ、メッセージに従ってトランプよりひと回り大きいくらいのシールパッドを対象者の胸に張り付け、あとは器械の指示に従って通電ボタ ンを押せばよいのです。通電の必要がない場合は、"除細動の必要はありません"というメッセージも流れるようになっています。もちろん、高電圧が通電する ので、操作する人や周りの人の感電事故を起こす危険があります。AEDの使用法を含めた心肺蘇生法のトレーニングは事前に受けておいた方が望ましいでしょ う。東京消防庁などが中心となり、心肺蘇生に関する講習会は各所で行われています。しかし、現実問題として、心肺蘇生のトレーニングを受けた人や医療従事 者が、意識を失って倒れている人の第一発見者になる確率は極めて低いため、トレーニングを受けていない者でも緊急時にはAEDが使用できるよう平成16年 7月から法律が改正されました。
今日、スポーツ活動にかかわる場所、すなわち、野球場、スタジアム、体育館、フィットネスジム、プール、ゴルフ場などではAED導入が急速に広まり ました。残念なことではありますが、スポーツ活動において、突然死のリスクは常に念頭に置くべき事柄なのです。このコラムは多くのスポーツ愛好家の方が御 覧になっていると想像します。もちろん、突然死の確率は極めて低いものです。しかし、みなさんが突然死につながるような状況の発見者になる確率は、自分が 突然死する確率よりは高いと考えられます。もし、そのような状況に遭遇した時、AEDの知識があるかないかによって、その後の行動は大きく変わって来るで しょう。
経歴 1987年 慶應義塾大学医学部卒 同内科、老年科を経て1995年より現職 生活習慣病や動脈硬化危険因子に対する運動療法が専門。