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ドクターコラム
スポーツプレックス提携のドクターが、お届けする、医療面からのコラムです。
どうすれば痩せられるか?(6)

“ジョギングなどの有酸素運動を1回20分以上続ける。これを週3〜5回”という運動の指針がアメリカスポーツ医学会から出されたのは1978年のことでした。

しかし、その後もアメリカでは肥満の頻度は上昇の一途をたどりました。この方法論自体は間違ったものではありませんが、もともと肥満予防を目的としたもの ではなく、身体的フィットネス(いわゆる体力)の改善を目的としたものであったので、いままで運動経験がなかった人がいきなり始めるにはいささかハードル が高かったのです。つまり、“運動すればいいとは分っているけれど、ジョギングを20分以上、週3回なんてちょっと自分にはできない”という人がほとんど であったために実効性が低かったのでしょう。たしかに、“そうか、わかった!”と言って翌日からジョギングきちんと始められるような人はそもそも肥満には なりません。問題は、運動はよいと分っていてもなかなか始められない人の生活スタイルをどのようにして活動的なものにもってゆくか?ということなのです。

さて、これに気付いた欧米の学者たちは研究を重ねた結果、次のようなことを見い出しました。
  1)肥満予防には1日トータルでのエネルギー消費量が重要 
  2)30分連続でも 10分X3回という“小分け”の形でも運動効果はほぼ同等
  3)ジョギングなど運動強度の高い運動が必ずしも必要なわけではなく、
   ウォーキングなど低〜中強度の運動でも効果を認める
  4)低〜中強度の運動で効果を得るためにはできるだけ毎日行うことが望ましい。

これらの知見を背景に、1995年、同医学会から新しい指針が出されました。この指針ではフィットネスより“身体活動を上げる”ことを強調し、“ウォーキ ングなどの中強度の運動を1日合計30分以上(10分X3回でも可)、できれば毎日”これに加え、階段を使う、買い物には歩いてゆくなど日常生活における 身体活動を上げる努力をすることを強調しています。以前のコラムで示したように、体重は“摂取エネルギー”と“消費エネルギー”のバランスで決まって来る のですから、いろいろな形で消費エネルギーを稼ぐことは理にかなっています。きついのはイヤ、時間がない、などが理由で運動を始められなかった人にとって も、小分けでも大丈夫、歩くだけでも良い という点は画期的であり、よりユーザーフレンドリーな方法と言えましょう。

生活習慣病に対する運動療法指導も最近はこの考え方が主流となり、まずは始めやすいウォーキングなどから開始し、様子を見ながら徐々に強度や頻度を増やしてゆく方法を推奨しています。

石田浩之(いしだひろゆき) 慶應義塾大学病院 スポーツクリニック助手 医学博士

日本臨床スポーツ医学会評議員
日本肥満学会会員
米国スポーツ医学会会員
欧州スポーツ医学会会員

経歴  
1987年 慶應義塾大学医学部卒 
同内科、老年科を経て1995年より現職 
生活習慣病や動脈硬化危険因子に対する運動療法が専門。

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