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ドクターコラム
スポーツプレックス提携のドクターが、お届けする、医療面からのコラムです。
なぜ運動が健康に良いのか?
過去2回のコラムでは運動が健康に良い証拠として、米国で行われて来た有名な研究結果を二つ紹介しました。運動が健康増進や寿命の延長に寄与するにあたって、最も深い関係があるのは心筋梗塞などに代表される動脈硬化性疾患ですが、では、どうして運動が動脈硬化性疾患に対して予防的効果を示すのでしょうか?これにはいくつかの理由があげらていますが、一番大きいのは動脈硬化の危険因子に対する作用でしょう。少々専門的な話になりますが、動脈硬化を促進する要因は“危険因子”と呼ばれ、高血圧、高脂血症、たばこ、糖尿病などがその代表例です。同じ年齢でも、動脈硬化の程度は様々ですが、一般に動脈硬化危険因子を持つ人の方が動脈硬化はすすむとされます。

過去の研究から、運動はほとんどの危険因子を改善させる方向に働くことがわかりました(もちろん、たばこはこれには当てはまりません)。定期的に運動することで、血圧や糖・脂質の代謝が良い状態に保たれ、その結果、動脈硬化の進展が抑制され、ひいては心筋梗塞など致命的な疾患の発症予防につながるのです。また、ある分析では、これらの危険因子を介さず、運動が直接的に心筋梗塞の予防や寿命の延長に寄与するともいわれていますが、その詳しいメカニズムはまだわかっていません。

さらに、動脈硬化だけでなくある種の“癌”に対しても運動が予防的に働くことが示されました。代表的な例は大腸癌で、運動習慣のある人はない人に比べ発症リスクが30-40%低いとされます。運動することで腸管の動きが活発になり、腸内の便の滞留時間が短くなって、発がん物質と腸粘膜の接触時間が減ることがそのメカニズムといわれています。その他、適度な運動により身体の免疫機能が向上することも、癌の発症を予防する上で重要といわれていますが、まだまだ不明な点も多く、今後の研究成果が待たれる領域です。

石田浩之(いしだひろゆき) 慶應義塾大学病院 スポーツクリニック助手 医学博士

日本臨床スポーツ医学会評議員
日本肥満学会会員
米国スポーツ医学会会員
欧州スポーツ医学会会員

経歴  
1987年 慶應義塾大学医学部卒 
同内科、老年科を経て1995年より現職 
生活習慣病や動脈硬化危険因子に対する運動療法が専門。

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