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スポーツプレックス提携のドクターが、お届けする、医療面からのコラムです。
運動が健康によい証拠(1)
ロンドンのバスの運転手と車掌を対象とした研究は大変インパクトの強いものであり、これを契機に運動と健康に関する研究が数多く行われました。その中でも規模が大きく、現在も進行中である有名な研究をいくつか御紹介しましょう。まずはじめに紹介するのは、米国の名門、ハーバード大学の卒業生を対象にした研究で、同大学のパッフェンバーガー教授が1960年代にはじめたものです。パッフェンバーガー教授のグループは、15000以上の卒業生にアンケートを行い、健康状態や日常の身体活動/運動習慣を詳しく調査しました。さらにこのアンケートを定期的に行うことで卒業生たちの健康状態や運動習慣が年齢と共にどのように変化してゆくかを調べたのです。ハーバード大学は歴史のある大学であるゆえ、同窓会組織もしっかりしているためこのような追跡調査が可能であったのでしょう。さて、結果はどうだったでしょうか?約20年後、卒業生の何人かは不幸にして亡くなりました。この研究では、各人の身体活動の指標として1週間あたりのエネルギー消費量に注目し、これと死亡率との関係を検討したのですが、最も死亡するリスクが高かったのは、最も運動をしていない人たち(1週間あたりの消費エネルギーが500kcal未満)だったのです。死亡リスクは身体活動量が増えるにしたがって低下傾向を示し、例えば1週間あたり2000kcalを消費している人たちは、500kcal未満の人たちに比べ約40%も死亡リスクが低いのです。定期的運動はいろいろな疾患を改善することで、最終的には寿命を伸ばすことに寄与する可能性が示唆され、運動することの有用性が科学的に証明されはじめたのです。
石田浩之(いしだひろゆき) 慶應義塾大学病院 スポーツクリニック助手 医学博士
日本臨床スポーツ医学会評議員
日本肥満学会会員
米国スポーツ医学会会員
欧州スポーツ医学会会員
経歴
1987年 慶應義塾大学医学部卒
同内科、老年科を経て1995年より現職
生活習慣病や動脈硬化危険因子に対する運動療法が専門。